IoTの基礎とスマート農業への活用

スマート農業の実現に不可欠とも言えるIoT技術。IoTとは「Internet of Things」の略で、「モノのインターネット」と訳されます。これまで独立していた農機具やセンサーなどがインターネットで繋がり、相互に情報をやり取りすることで、農業のあり方を大きく変える可能性を秘めた技術です。例えば、圃場に設置されたセンサーが土壌の状態や気象情報をリアルタイムで収集・記録したり、遠隔地からハウス内の換気扇や暖房機を操作したりと、まさに農業の”情報網”や”神経系”を構築する技術と言えるでしょう。

このIoT技術は、今や農業分野においても、人手不足や技術継承といった課題に取り組む上で基盤となるものです。農場に張り巡らされたセンサーネットワークや、スマートフォンと連携した水管理システムなどがその代表例です。センサー等から集められたデータは、農作業の効率化や栽培計画の最適化に役立ち、経験の浅い人でも安定した農業経営を目指す上で貴重な指針となります。関連機器のコストが下がってきたこともあり、これらのシステム導入事例は着実に増えています。

スマート農業を支えるIoTシステムの開発には、当然ながら専門的な技術者、すなわちIoTエンジニアの力が不可欠です。IoTエンジニアには、農業機械や多種多様なセンサーといったハードウェアをネットワークに接続し、データを安定的に収集・伝送するための組み込みシステムや通信技術の知識、それらをプログラムで制御するスキル(C言語など)が求められます。加えて、収集された多種多様なデータを農家が圃場の状況把握や作業判断に活かせるよう、分かりやすく可視化する農業用ソフトウェアやアプリケーション開発の知識もますます重要になっています。